移転のご挨拶

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はじめに

こまえ工房移転・一体化にあたり、これまでご支援、ご尽力頂いた皆様へ、感謝の気持ちをお伝えしたいと思い、移転のごあいさつを作らせていただきました。こまえ工房の「これまで」と、「これから」を皆様と共有できればと思っています。ご一読頂き、楽しんでいただければ幸いです。




こまえ工房~これまで~

社会福祉法人 足立邦栄会理事
多摩ブロック長 徳武 孝

平成29年(2017年)12月、こまえ工房三所(こもれび、もえぎ、こだち)は、狛江市の保育園仮園舎だった建物へ移転し、長年の念願であった一体化が実現します。この間、こまえ工房の前身である狛江福祉作業所(第1~第3、以下、三作業所)を設立し、足立邦栄会に運営移行後も多くのサポートをいただいた狛江市手をつなぐ親の会(以下、親の会)、市の公共施設再編に係る計画にこまえ工房の一体化を盛り込み、幾多の紆余曲折を乗り越え今回の一体化の場所と建物を準備された狛江市はじめ、多くの方々の想いと力に後押ししていただきました。本来みなさまに直接感謝をお伝えすべきところではありますが、まずは書面にて深く感謝申し上げる次第です。

(1)一体化に至る経緯
  1. 狛江市手をつなぐ親の会が運営する、狛江市に暮らす障がい者の作業所として開設。
    ・昭和56年(1981年)狛江福祉作業所(こもれびの前身)開設
    ・昭和62年(1987年)狛江第二福祉作業所(もえぎの前身)開設
    ・平成15年(2003年)狛江第三福祉作業所(こだちの前身)開設
  2. 平成21年(2009年)4月 障害者自立支援法へ移行するため、足立邦栄会に運営移行、「こまえ工房」と名称を改め、一事業所(生活介護と就労継続支援B型の多機能型 定員40名)として事業開始。
    ・こもれび(元和泉2-35-1あいとぴあセンター3F):生活介護 定員13名
    ・もえぎ(東和泉1-3-17駄倉地区センター内):就労継続支援B型 定員14名
    ・こだち(西野川1-1-8):生活介護 定員13名
    ※運営移行に当たっては、上記三作業所利用者の継続利用、地域生活を支える事業展開、設備の整った場所での一体化のご要望が親の会から出され、足立邦栄会としても努力していくとしました。
  3. 平成21年(2009年)12月:「狛江市公共施設再編方針」策定。その中で、狛江第三中学校を旧狛江第四小学校跡地に新築移転させ、移転後の第三中学校校舎を改修して、福祉作業所(こまえ工房)を移転させるとしています。
  4. 平成24年(2012年)11月:「狛江市公共施設整備計画」策定。こまえ工房3ヶ所については、いずれも十分なスペースを確保できないため、社会福祉法人と連携して機能集約できる施設を整備し、施設統合することで作業環境の改善を図るという方針が示されました。
  5. 平成24年(2012年)12月:同年10月にこまえ工房家族会が、こまえ工房の一体化及びこだちの環境改善について等の意見書を提出。これに対し狛江市は、市の方針として、三ヶ所に分かれている福祉作業所の機能を集約し、作業環境や生産性の向上を図るとともに、社会福祉法人と連携した施設の整備を図っていきたいという回答を受けました。
  6. 狛江市手をつなぐ親の会は、こまえ工房の前身である狛江福祉作業所を運営していた当時(平成20年度まで)から、 設備の整った一ヶ所での事業運営を希望されていました。足立邦栄法人に移行してからも、狛江市に対する要望書を長年にわたり提出されています。そのひたむきな姿勢が市政に届いたと思います。
  7. 平成26年(2014年)~平成28年(2016年):狛江市から和泉多摩川駅前のぽかぽか広場が一体化の候補地として挙がり、狛江市との協議のもと、足立邦栄会では地域生活支援拠点としてグループホーム等も含めた計画を作成、東京都と協議を進め、施設整備費補助申請を行ないました。しかし建設予定地における計画がストップしており、その先行きも不透明であるため、暫定的に狛江駅前の保育園仮園舎に移転するという方針が狛江市から示されました。
  8. 平成28年(2016年)~平成29年(2017年):平成28年9月28日、10月1日に「福祉作業所の暫定的な統合についての市民説明会」(狛江市・足立邦栄会)が開催されました。平成29年4月~11月、駐車場、成人用トイレ、エレベーター設置等の改修工事が狛江市によって行なわれました。
(2)こまえ工房の8年半

平成21年、足立邦栄会に運営移行(法人化)するに当たっては、親の会や三作業所の所長・職員との話し合いを重ねました。「こまえ工房」「こもれび」「もえぎ」「こだち」の名称は、その協議の中で提案され生み出されました。設立の経緯やカラーの異なる三作業所を移行するキーワードとして、「ソフトランディング」が言われました。三作業所とも利用者ニーズは幅広く、ニーズごとに通所場所を再編するということも検討されましたが、利用者の気持ちの安定と将来の一体化を視野に入れ、まずは基本的に同じ場所に通い続ける形での移行になりました。作業所時代の職員も多く残ってくれました。工賃の支給基準や日課・イベント参加基準など、一定の共通ルールは設けましたが、三所のオリジナリティと利用者支援・作業内容のノウハウを最大限尊重・活用することにより、混乱は最小限に留まったと思います。法人化に当たって、親の会及び三作業所の多くの方の熱い想いと歴史を感じましたし、また同時にそれらの方々は、それぞれの作業所に寄せる思いや価値観の多くを胸の奥にグッと飲み込んで、足立邦栄会に運営を委ねてくださったと思っています。

一日一日の積み重ねが8年半の継続になりました。利用者のみなさんの笑顔、意欲、活気が、我々職員の支えでもありました。またご家族(家族会)のご理解・ご協力に支えられてきました。移行初年度は90%以下(一日平均35名程度)だった利用率は、利用者の入退所ありましたが、ここ数年は100%(一日平均40名)を超えるようになり、面積的な許容量は限界の状態が続いていました。「ソフトランディング」は利用者の安心にはつながりましたが、もともとの多様なニーズに三所がそれぞれに応える難しさ、狭さ、貧弱で老朽化する建物・設備の中で、我々が目指したい支援と現実とのギャップが益々大きくなっていったように感じます。

一体化後については、これまでのノウハウ・良い支援・関係性は継承しつつも、利用者一人一人がそれぞれの人生の主人公であり続けるために、思い切った挑戦もしていけるこまえ工房であってほしいと思います。

(3)足立邦栄会の責任

足立邦栄会はこの間狛江市においては、ポンテ(旧・重度身体障害者通所訓練室)の生活介護事業化、グループホーム、相談支援、日中一時支援、居宅介護・移動支援と、地域で暮らす障がい者の暮らしを支える事業展開に、そしてこまえ工房の維持・発展に、不十分ながらも取り組んでまいりました。地域への貢献、利用者ニーズに応える支援の充実・事業展開等、まだまだ期待に応えられていないことが多いと認識しています。これからも足立邦栄会として、こまえ工房の事業を責任を持って継続していくという覚悟はもちろん強く持っていますし、現場の職員が目的に向かって意欲を持って支援に臨めるよう、事業環境の整備等全力を挙げて取り組む所存です。ご利用者・ご家族、地域のみなさまなどのご意見に真摯に耳を傾け、立場に甘えずおごらず、地域に必要とされる社会福祉法人として成長していきたいと思います。

今回の一体化に係る多くのご支援は、一社会福祉法人である足立邦栄会にとっては分不相応なものだと思います。地域で暮らす障がい者の活躍の場を守り広げるという親の会やこまえ工房家族会等の強い思いに、狛江市が粘り強く応えたことによるものです。歴史を忘れず継承ししかし歴史に縛られず、より良い未来を指向して進んでいきます。今後もこまえ工房に多大なご支援・ご協力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

(平成29年11月)

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こまえ工房~これから~

社会福祉法人 足立邦栄会
こまえ工房  近岡 真佐人

 関係各位のご尽力のもと、一体化がいよいよ12月に迫ってまいりました。この間、ご利用者、ご家族、関係各位との話し合いを重ねてまいりました。もちろん、職員の中でも様々な話し合いをしてきました。話し合いの中では、これまでそれぞれの事業所が行ってきたこと、やりきれなかったこと、大切にしてきたことなど様々な思いが出てきて、自分たちがこのような熱い思いを持っていたことに改めて気がつくことになりました。

1、自立支援法から総合支援法へ

平成21年障害者自立支援法の事業である生活介護事業と、就労継続支援B型事業を行なうため、社会福祉 法人足立邦栄会へと運営移行しました。移行当初は、利用者の安心を最優先に、これまでの内容を踏襲しながらの運営を行なってまいりました。その中で、徐々にではありますが、共通の部分を増やしてきた8年半だったと思います。

地域の状況も、障害者自立支援法が施行され、国として各事業に求めるところが明記されるようになり、障害者総合支援法へと移っていく過程で、様々なサービスが充実していきました。それは、これまで一つの事業所で担っていた所が、様々な事業所で行なわれるようになり、それぞれの専門性のもとにしっかりとご利用者にサービス提供されるようになってきたということでもあります。また、相談支援が入る事で一貫した支援方針のもと、横の連携が図られるようになってきました。

2、自分たちを見つめなおす

このような状況のなかで、一体化という大きな変化を迎えるにあたり、改めて私たちが行なっている事業の意味を見つめなおす必要にせまられました。それは、我々が行なっている支援の意味を問い直す過程でもありました。教育でもなく、指導でもなく、支援であるとはどういうことか、そういったことも一体化に向けた会議の中で話し合ってきました。

福祉の世界ではノーマライゼーションという言葉が良く聞かれます。ノーマライゼーションは、どんな人でも、当たり前に生活できる社会を実現するために、環境を整備していこうという考え方です。ここで言う環境とは、物理的なものだけでなく、我々の意識など精神的なものも含めて環境と言っています。つまり物理的なものだけで無く、我々の意識を変えることで実現できる当たり前があるということです。

このような考え方から、改めて自分たちが行なっていることを見直したときに、作業中心の支援における課題の解決が、果たして利用者の本当のニーズを満たすことになるのか、そういった疑問が生まれてきました。

もちろん、作業を中心としたニーズがある方もいらっしゃいます。しかし、幅広い利用者を受け入れていくにあたって、その方がいきいきと、その方らしく在れる場として考えた場合、中心に据えるべきはご利用者が思う「ありたい自分」であり、それを実現できる環境を整えていかなければいけないと考えました。

3、これからの事業展開

こういった経緯から、今回の一体化の際に合わせて、利用者の事業変更含めて、大きな転換をすることを決意しました。

生活介護事業は、「自立支援」という観点から、様々な活動を組み合わせながら、事業所に来ることの意味や、楽しさを感じてもらえるような活動を行っていける場所。身体機能の低下などにも、あわせた支援を行う場所などを目指していきます。

就労支援継続B型に関しては、作業や生産活動を通じて集団の中での連帯感、一体感を大切にして行きたいと思っています。また、自主的に作業や生産活動に取り組んでもらえるような取り組みが出来ればと思っています。もちろん、工賃の向上や、就労に向けた支援も行なう予定です。

また、両事業に共通して言えることですが、様々な場面で職員が解決するのではなく、利用者自身や、利用者同士で解決していけるような支援をしていきたいと思っています。

事業の特色をはっきりと打ち出して、今より作業を頑張りたいひとから、日中充実して過ごせる場所を求める人まで、幅の広い支援へと繋げていければと思っています。

4、ノーマライゼーション実践の場として

ノーマライゼーションは「どんな人でも、当たり前に生活できる社会を実現するために、環境を整備していこうという考え方」ですが、誤解されやすい部分も多くあります。その1つに、「ノーマライゼーションは特別な支援をなくすことでなはい」というものがあります。わかりやすい例があったので、HPから引用させていただきます。

◇「ノーマライゼーションは特別な支援をなくすこと」ではない
ノーマライゼーションは、障害のある人が支援を受けずに生活できるようにするということではありません。例えば、目が悪くてもメガネやコンタクトなどの補助器具があるおかげで不自由なく生活できます。ノーマライゼーションは、障害のある人が不自由なく生活できる助けになる支援・サービスを推奨している考えです。

引用HP:https://h-navi.jp/column/article/35026286

我々自身、なんのサービスも受けずに社会生活を過ごしているわけではありません。また、サービスを受ける際に、適切かどうかが重要なことを知っています。眼鏡の例で言えば、ただ眼鏡をすれば良いわけではなく、その人にとって適切な度を測り、その人の必要性(近視なのか、遠視なのか、乱視なのかなど)にあった眼鏡を作らなければ意味がなく、それがサービスとして当たり前になっています。

利用者にとって適切な支援=サービスを探り、必要性にあった支援をしていくこと、それが眼鏡作りのように、社 会においてあたり前になることを目指したいと思います。

そのためにも、「こまえ工房」がまず、ノーマライゼーションの実践の場であることを職員一同意識しながら支援してまいります。

5、さいごに

これまで、ご利用者、ご家族、狛江市、手をつなぐ親の会をはじめ関係各所の皆様の多大な支えのもと、運営を行なってまいりました。これまでの様々な叱咤激励が、職員の中にしっかりと根付き、芽吹いていると感じております。今後も拙い部分あるかと思いますが、一生懸命運営してまいりたいと思っておりますのでご支援、ご協力のほどよろしくお願い申し上げます。

(平成29年11月)

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終わりに

これまで、作業所時代、こまえ工房3所の時代を経て、ついに一体化の運びとなります。
これまで、多くの人の関わり、支えのなかで、歩んでこれたことへの感謝。
私たちがこれからやるべきことを、精一杯努めていく覚悟。

そういった思いが少しでも伝われば幸いかと思います。そうして、少しでも関わっていただいた方々に幸福、納得、満足をお届けできればと思っております。

これからも、多くの方に支えられていることを灯火として、こまえ工房の運営を進めて行きたいと思っております。お力添えの程、よろしくお願い申し上げます。